米国調査のデータにもとづいて赤坂における核種の推移をもう少し追いかけてみる。

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グロスα線核種(左軸)とグロスβ線核種(右軸)が重なって観測されている期間をグラフ化すると上図のようになり、 3月22日夜から3月23日の午前1時頃までの計測時がピークとなっている。前後にα線核種のみが来ている時間帯があり、来襲する時間帯によって放射能雲の由来が異なっていることが解る。3月15日にはまだ計測が行われていなかったのでデータはない。

 

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3月19日から23日の来襲にはヨウ素131とグロスβ線核種は重なった動きを示しているが、ヨウ素131は3月29日に称ピークが観られる他、4月になっても小さいピークが観測されている。単純に平均するとグロスβ線核種はヨウ素131の約200倍の濃度で襲来している。

 

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一方で、Cs137の動きとα線核種、β線核種の動きはピーク位置がずれて気団が異なっていることを示している。ヨウ素131の3月21日のピークにはα線核種が重なり、3月23日のピークにはβ線核種が重なっている。

 

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ヨウ素131の捕集をガラスフィルターろ紙で行ったものと活性炭フィルターろ紙で行ったものの差違を現した推移グラフ。活性炭フィルターの方が捕集効率が良く平均で2倍程度高い値を示している。

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呼吸で放射能汚染した空気を吸い込むとどれだけ被曝するか。1Bqの放射能を取り入れた時の内部被爆の大きさがそれぞれの放射性元素で計数化されています。ICRPの定めたもので、次の表をもとに計算します。

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例えば、ヨウ素131が10Bq/m3の空気の中で1時間過ごしていると肺の中にはおおよそ10Bqのヨウ素131を取り入れることになります。

ヨウ素131の呼気被曝係数は7.40E-09(0.0000000074)なので被曝量は

0.0000000074×10 = 0.000000074 シーベルト

          = 0.000074ミリシーベルト

          = 0.074マイクロシーベルト

という計算になるようだ。

ウラン238を1Bq/m3含んでいる場合には

0.000008×1 = 0.000008 シーベルト

       = 0.008ミリシーベルト

       = 8 マイクロシーベルト

累計でどれだけの放射能を肺の中に取り入れたかを計算して合計内部被曝量を計算します。

 

しかし、この係数の欠陥は、肺の中や気道粘膜に吸着して残される放射性物質の影響は計算されていないことです。肺の一番深くの肺胞に侵入した1μメートル以下の微粒子は排出されずにそこにとどまります。粘膜の損傷やガンの発症、さらにナノ粒子は肺から血流に入りただちに脳に到達して中枢神経を攻撃します。

もうひとつ大事なことは子どもの被曝量は大人よりはるかに厳しく見積もられ、10倍から100倍も高くなる可能性があることです。

しかも、この評価方法であると空気の中にあることが確認された核種だけで計算することになり、原発の爆発直後の数千種類もある核物質の内せいぜい10数種類ぐらいしか評価の対象になりません。未確認の放射性物質の影響は無視されることになります。米国の調査におけるグロスαやグロスβの大きさは確認された放射性物質の濃度よりも何百倍も大きな値を示しています。初期被曝による内部被曝の影響をなめてはいけないことについては東京都産業技術研究所のデータと重ね合わせて検討します。 → 東京都産業技術研究所データから

 

そもそも放射線の生体影響を物理的なエネルギーだけで説明できるとするシーベルトの概念は間違っている。生体影響の中にはホルモンのようにわずか一分子が作用するだけで雪崩のように連鎖反応が起きることもある。エネルギーはそれほど大きくなくても放射線の電離作用で生成した活性酸素が細胞膜を攻撃破壊し、プロスタグランジンやサイトカインなどの生理活性物質を産生して周辺細胞を攻撃することもある。エネルギーの大小では説明できない事態が起きている可能性を考えるべきだ。

赤坂被曝2 呼吸でどれだけ被曝するか

(H30年2月14日改訂)

碧い蜻蛉

  フクシマ・ジェノサイドと呼ばれる全訳)
後世に
公害とは、公の共有物たる天地・海川に毒をまき散らし、万物の命を奪う天下の大罪

赤坂被曝1赤坂被曝2/六本木も/東京都産業技術研究センターデータから