福島からの死の灰の放射能濃度 |
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重要 野田における考察追加 下段 |
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α線 9320万Bq/kg β線 1700億Bq/kg |
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2015年1月20日追記 |
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粉塵中ガンマ線核種濃度推定 野田 15日9時 110億Bq/kg 20日16時 310億Bq/kg |
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図1 2011年3月15日〜16日にかけての野田市野田局におけるSPM及びCs137濃度の推移(SPMは大気汚染測定局データ。Cs137は首都大学東京の報告書「平成24 年度SPM 捕集用ろ紙に付着した放射性核種分析報告書」のデータ) 但し、横軸は時間経過、時間10のSPMは欠測 |
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図2 2011年3月15日〜16日にかけての野田市野田局におけるCs137濃度と国設野田自動車交通環境測定所におけるPM2.5濃度の推移(PM2.5は大気汚染測定局データ。Cs137は首都大学東京の報告書「平成24 年度SPM 捕集用ろ紙に付着した放射性核種分析報告書」のデータ) 但し、横軸は時間経過、時間17〜19のPM2.5は欠測 |
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図3 2011年3月20日〜23日にかけての野田市野田局におけるSPM及びCs137濃度の推移(SPMは大気汚染測定局データ。Cs137は首都大学東京の報告書「平成24 年度SPM 捕集用ろ紙に付着した放射性核種分析報告書」のデータ) 横軸は時間経過 |
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図4 2011年3月20日〜21日にかけての野田市野田局におけるCs137濃度と国設野田自動車交通環境測定所におけるPM2.5濃度の推移(PM2.5は大気汚染測定局データ。Cs137は首都大学東京の報告書「平成24 年度SPM 捕集用ろ紙に付着した放射性核種分析報告書」のデータ) 但し、横軸は時間経過、時間17〜19のPM2.5は欠測 |
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首都大学東京の研究者たちが大気汚染測定局のSPM測定用テープに残された放射性セシウムの濃度を測定して報告してくれた。できることならウラン、プルトニウム、コバルト、ストロンチウムも精細に報告してくれるとありがたいのだが、これだけのデータが出されたことから首都圏を襲った死の灰の放射能を推定する有力な手がかりをもたらしてくれた。 千葉県の大気汚染データと環境省のデータを検索して、野田におけるCs137とSPM、PM2.5の関係をグラフ化してみた。残念ながらPM2.5については一致する場所が無く、近くにあると思われる国設野田自動車交通環境測定所のPM2.5のデータを代理で用いた。 図1、2は 3月15日〜16日、図3、4は3月20日から23日にかけての観測データである。 左の二図はSPMとCs137の推移を示す。ここには示さなかったが、柏大室、鎌ヶ谷軽井沢、千葉山王、千葉千城台、我孫子湖北台などの局もグラフ化してみたが、SPMとあまり良く関連していないように見えた。また、最近の報告でも、放射性粒子はPM2.5の方に分布しているという事が示されている。 上図右の二図はPM2.5 とCs137 濃度の関連を表す。なんとなくこちらの方に部がありそうなのでPM2.5の濃度をベースに粉塵中の放射能濃度を求めることにした。 図2の放射性セシウム濃度が最も高くなった時が3月15日午前9時、Cs137濃度は26.6Bq/m3、PM2.5濃度は40μg/m3であった。PM2.5粉塵1μgあたり、0.665Bqになる。1kgあたりでは665,000,000Bq(約7億Bq)になる。 図4では3月20日午後4時、Cs137濃度は21.7Bq/m3、PM2.5濃度は36μg/m3であった。PM2.5粉塵1μgあたり、0.603Bqになる。1kgあたりでは602,777,778Bq(約6億Bq)になる。 飛来した放射能はセシウム137だけではない。CTBTO高崎観測局のデータを援用して他の核種の濃度を推定しておこう。高崎のデータは1日の捕集データであるのでこれも推定ではあるが、それぞれ濃度は変わっても核種間の相対比率は同じであると仮定する。15日と20日はプルーンの組成が変わっているのでそれぞれCs137を1として核種の比率を出し、野田局におけるPM2.5粉塵中の核種の濃度を求める。 ピンク色で示した部分が粉塵中のCs137濃度。高崎観測所のそれぞれの核種の放射能濃度をCs137 の放射能濃度で除して計数化し、粉塵中の他の核種濃度を推定した。 目をむく数字になるのだが、3月20日の粉塵の濃度は凄まじいことがわかる。ヨウ素131、ヨウ素132会わせて12億Bq/kg、気体で捕集されていないヨウ素があることから放射性ヨウ素は20億Bq/kgほどあったのでないか。 放射性テルルは100億Bq/kgを越えるなど、全体で310億Bq/kgという恐ろしく高濃度な粉塵であったことがわかる。 |
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吸引ろ紙のオートラジオグラフ 出典を見失ってしまって申し訳ないが、下図は大気中の粉塵をエアサンプラーで吸引したろ紙のオートラジオグラフである。15日の方が粒子の大きな放射能粉塵を吸引しているがまばらに見えている。これに対して21日のろ紙はまんべんなく放射能粒子が覆って全体としての濃度も高いようである。 15日の放射能は液体状の核燃料が水蒸気爆発などで液体の飛沫となって空中に飛び出し、冷却されて粒子となって飛散したようにみえる。粒径の特に大きなものは重力沈降で近傍に、粒子の小さなものは遠方に運ばれたのであろう。 これに対して、21日のろ紙はもっと高温の爆発が起きて、気化した原子状の放射能が多く含まれていたことを示唆する。原子状態で大気中に放出された金属放射能は大気中の酸素と結合して酸化物となったり、水蒸気と反応して水酸化物となり、少しづつ凝集して粒子径が大きくなっていく。原発から放出された放射性ヨウ素と結合したヨウ化セシウムの分子も含まれていたことであろう。酸化物や水酸化物は強いアルカリであるから大気中の硫酸や硝酸とぶつかると硫酸セシウムや硝酸セシウムへと変化していく。凝集して0.1μm以上に成長した粒子、あるいは当初からそれ以上の大きさを持っていたヒュームなどがろ紙上に捕捉されているが、粒子の粒径分布は細かなものが多くみえる。 粒径平均2.5μmの粒子の捕捉を狙いとしたN95マスクで防ぐことができたか? 2015年3月30日追記 |
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原子炉建屋内がれき放射能と同等の高濃度放射能 “原発は今すぐ廃止せよ”さんがJAEAの調査をアップしてくれていたので、一部を抜き出した。それによると原子炉建屋内のがれきにはCs137は1000万〜10億Bq/kg、Co60 が1000〜10万Bq/kgレベル、トリチウムも1000〜10万Bq/kgレベル、Sr90は10万〜数千万Bq/kgレベル、Pu238、Pu239+240、Am241、Cm244のα線核種は数10〜数万Bq/kgの汚染であった。 なかでも2号機のボーリングコアの表面に付着した塗膜はCs137が10億Bq/kg、Co60が数10万Bq/kg、Sr90が数千万Bq/kg、トリチウムが10万Bq/kg、Pu238、Pu239+240、Am241、Cm244のα線核種はそれぞれ数万Bq/kgの汚染であった。原因はP238/(Pu239+240)の濃度比から原子炉の燃料によるのとしている。 関東を襲った放射能粉塵濃度は原子炉建屋内の飛散した核燃料と同等の放射能であり、破損した原子炉容器から噴出した核燃料がそのまま飛散して襲来したと考えて良い。建屋の水素爆発が主たる原因ではない。(3月31日記) |
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100万Bq/g = 10億Bq/kg |
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1万Bq/g = 1000万Bq/kg |
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100Bq/g = 10万Bq/kg |
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碧い蜻蛉
福島原発から放出された死の灰が東京を襲い、「健康に影響はない」という枝野官房長官の声明で多くの人たちが無用の被曝をさせられた。しかし、いったいどのくらいの濃度の放射能粉塵が襲ったのか?東京都やCTBT高崎が空気中の放射能粉塵の濃度を空気1立方メートル当たり何ベクレルという数値を公表しているが、空気中の粉塵の重量はデータに加えられていない。関東を襲って各地に沈着している粉塵はどれくらいの放射能を含んでいたかを推定してみる。
放射能濃度はCTBT高崎観測所のデータを用い、観測のベースとなる浮遊粉塵(SPM)量は東京都の2%除外値に近い、50μg/m3を仮定して用いる。
公表されているCTBTのデータはガンマ線で判別できる核種のみである。 (2013年7月12日)
ガンマ線核種だけで 19億ベクレル/kg
CTBT高崎のデータは最も濃度の高い3月15日から16日にかけて採取されたものである。SPM50μg/m3の空気が、22.589Bqであれば、SPM1μgあたり、0.452Bqである。1kgにすれば、4億5千178万Bqに相当する。それぞれの核種について1kg当たりを求めて合計すると、18億6300万Bqになる。
関東を襲った死の灰の放射能濃度は ガンマ線核種だけで 18億6300万Bq/kgというとてつもない高濃度であった。東京の路傍で簡単に数万Bq / kgという放射能が見いだされるのも無理からぬことだ。
さらに、それぞれの核種が1Bqあたり何gかを表す比放射能からそれぞれの核種の重量を求めてみると、合計して1kgのSPMに0.0000387gしか含まれていない。どんなに小さな微粒子でも肺の中に沈着すれば膨大な内部被曝を引き起こすことが想像できよう。
CTBT高崎のデータはガンマ線核種の計測だけ示されているが、補足としてアメリカが行った大気粉塵中の放射能濃度のデータから、六本木での全α線、全β線の計測データを用いる。
ガンマ線核種と同様な仮定で大気粉塵中のα線核種、β線核種の濃度を求めると、それぞれ9320万Bq/kg 、
1700億Bq/kgという値になる。
α線源となる核種は、ウランやプルトニウムである。東京を襲った粉塵はウランやプルトニウムをたっぷりと含んでいたのであろう。
ベータ線源となる核種は非常に多く含まれている。1マイクログラムすなわち1000分の1ミリグラムという微小粒子でも0.093ベクレルのα線、174ベクレルのβ線、1.8ベクレルのガンマ線を放出する。いまなお、福島、関東の空をただよい、風向きによって全国に汚染を広げている。
さらに、がれき焼却によって人為的に全国くまなく汚染を広げている。