![]() |
||
![]() |
![]() |
![]() |
大阪・能勢の山に残るチェルノブイリ |
||
![]() |
![]() |
![]() |
碧い蜻蛉
大阪のてっぺん、京都府亀岡市と接する能勢町の新しい地点の土壌サンプルを提供してもらった。地名は詳しくは書かないが、神社の境内地だと言うことで非耕作地の土壌である。バックグランドは地下60cm土壌というお願いに、苦労して穴を掘って採取してくれた。自分で掘ってみて、スコップで掘れる限界かなと思いながら地下土壌を採ってもらっている。
おかげさまで能勢の山に残るチェルノブイリのセシウム137を明確にとらえることができた。今の段階では福島事故の影響は痕跡程度確認できるだけである。 2014年4月23日
Cs137のピーク
Cs134のピーク
測定機は高槻・市民放射能測定所のiFKR-ZIP。試料の質量は230g、計測時間は10時間。試料室に何も入れないで採ったバックグランドで計測したのが上図(図1)である。赤線が試料の計測スペクトル、黄土色の線がバックグランドスペクトル、緑色が差分スペクトルで、これで濃度を計算する。
土壌由来の天然核種に埋もれているが、Cs137 の明瞭なピークの他に、低いけれどもCs134に相当するピークが見えている。コンプトン散乱でベースが上がっているのと天然核種の影響を受けている。
Cs137だけが浮かび上がった
9.2Bq/kg
試料室に地下土壌を入れた状態で採ったバックグランドで計測したのが図2である。赤線が試料の計測スペクトル、黄土色の線がバックグランドスペクトル、緑色が差分スペクトル。バックグランドで用いた地下土壌の質量は153g。地下土壌の方が天然由来の放射能濃度が高く、計測スペクトル(赤線)よりもバックグランドスペクトル(黄土色)の方が上に上がってしまって計測値が出てこないために地下土壌の量を減らしていってBG測定を繰り返した。図2の計測でもまだ高くなっているので、もう少し地下土壌を減らしてBGをとらないとCs134が浮かび上がってこない。
しかし、この操作によって土壌由来の天然核種に埋もれていたCs137 が単独の明瞭なピークになった。
Cs134領域がマイナスになっているためにCs137 の濃度が間違って計算されているので、同等のCs137ピークを持つ試料と比較してこの土壌に含まれるCs137を推測する。下の図3に汚染の無い滋賀県産のお茶をBGに用いた静岡茶のスペクトルを示す。図の縦軸を同じ100カウントにそろえると図2と図3のCs137の高さはほぼ同じになることから、図2で示されているCs137は計測表示値で6.6Bq/kgに相当すると推定できる。
定格試料重量320gで設定されていることから重量換算するとCs137濃度は 9.2Bq/kgになる。
Cs134がほとんどないことから、このCs137はほとんど1986年のチェルノブイリ事故由来であることがわかる。
チェルノブイリ事故から27年、ほぼ半減しているので、事故当時大阪にもCs137 が20Bq/kgくらい、1平方メートルあたりに換算すると約1300Bqが降ったと推定できる。
図 1
表土の計測スペクトル
図 2
天然核種の影響を相殺したスペクトル
図 3
静岡茶に含まれる放射性セシウム