関西・土壌の放射性セシウム汚染 |
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碧い蜻蛉
能勢町A
能勢町B
能勢町C
高槻市北園
高槻市月見台
野洲市西河原
山形県横手市
参考:高槻市日向町
参考:和歌山県新宮市
宮城県
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランド(地下土壌)スペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:100カウント
(株)シンメトリックス社のガンマ線ベクレル計iFKR-ZIPは試料を160gづついれたチャック付きビニール袋2つをセンサーを挟んだ2箇所の試料室に収めて計測する。関西のように比較的汚染度の低い地区の土壌を計測するのには10時間程度の計測が必要になるが、通常の計測では温度ドリフトを考慮する必要がなく、長時間の計測が可能であるので、十分な機能を持っている。
また、バックグランドデータを収めたファイルを解析に合わせて選択することができる。これはZIPのようなシンチレーション式サーベイメーターで、天然核種のスペクトルが妨害となる土壌などの試料で人工核種汚染を計測する際に好都合である。原爆開発によってこの地球上にもたらされた人工核種はまだ地表付近に留まっていると考えられるので、地中深くの基盤土壌を採取してスペクトルを採取すればその土地のバックグランドスペクトルを見ることになるのでないか。
地下土壌のスペクトルを採取してバックグランドスペクトルとすれば、地表に降り積もった人工核種を浮かび上がらせることができるはずである。
高槻・市民放射能測定所に計測を依頼された方などの知人に頼んで、いくつかの地点の地下土壌,表面土壌を採取してもらった。現在、大阪府能勢町3地点、大阪府高槻市2地点、滋賀県野洲市1地点であるが地下スペクトルをバックグランドに地表のセシウム汚染を計測できた。秋田県横手市では別のZIPユーザーが地下50cm土壌をバックに地表の汚染を計測している。生データを提供してもらっているので再掲する。
さらに、地下土壌の無い地点についてもスペクトルパターンから6地点の地下スペクトルから似ているものを選択して差分スペクトルを描かせてセシウムを浮かび上がらせてみた。
こうした手法は汚染の激しい関東東北では必要が無く、天然核種の影響などノイズの範囲に収まってしまうことは、宮城や世田谷のスペクトルで明らかであろう。
試料重量は320g(wet)、計測時間はバックグランドとして使用したものもすべて10時間。
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランド(地下土壌)スペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:250カウント
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランド(地下土壌)スペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:100カウント
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランド(地下土壌)スペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:250カウント
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランド(地下土壌)スペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:100カウント
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランド(地下土壌)スペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:100カウント
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランドスペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:500カウント
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランドスペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:1000カウント
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランド(地下土壌)スペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:500カウント
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランドスペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:1000カウント この試料だけ92g
赤線は測定スペクトル、茶線はバックグランドスペクトル、緑線が差分スペクトル
縦軸スケール:100カウント
参考:秋田県横手市
参考:東京都世田谷区
参考:宮城県
参考:東京都世田谷区
放射性セシウム:定量限界以下
大阪府の北端の町、山あいの三つの谷から構成されているがもっとも西側の谷筋になる。差分スペクトルにはCs137の662keV、Cs134の796keVのピークは見られない。低エネルギー域のピークもほとんど無く、非常に清浄な畑であることがわかる。
放射性セシウム:6.9Bq/kg
差分スペクトルの662keVにピークが見られること、Cs134の796keVにもあり、福島事故の放射能が微量ではあるが確認できる。低エネルギー域にもピークがあり、上記の地点に比べて汚染の影響がみられる。近くを走る国道173号からの飛散が疑われる。
放射性セシウム:定量限界以下
同じ地区であるがこの畑では、差分スペクトルにはCs137の662keV、Cs134の796keVのピークは見られない。ここも低エネルギー域のピークもほとんど無く、非常に清浄な畑であることがわかる。
放射性セシウム:6.9Bq/kg
大阪と京都の中間に位置し、淀川、名神高速道路、西国街道と平行している。差分スペクトルにはCs137の662keV、Cs134の796keVにピークがある。低エネルギー域もピークが高く、人工核種の汚染が重なっていることが推定できる。
放射性セシウム:定量限界以下
同じ高槻市内だが、少し山手で花崗岩風化土壌の畑(まさ土)である。ここはCs134はピークが見られず、Cs137もわずかにピークが見える程度である。低エネルギー域もピークが少なく、人工核種の汚染は少ない。
放射性セシウム:定量限界以下
滋賀県湖南地区で主要道路は国道8号であるが、数キロ以上離れている。Cs134はほとんどピークが見られず、Cs137領域は全くピークが見えない。低エネルギー域もピークが少なく、人工核種の汚染は少ない。
放射性セシウム:2.2Bq/kg
宅地で表土しか試料がなかったのでスペクトルのパターンの類似性から高槻市月見台の地下土壌(まさ土)スペクトルをバックグランドスペクトルとして用いたので参考値です。差分スペクトルにはCs137の662keV、Cs134の796keVにピークがある。低エネルギー域もピークがあり、人工核種の汚染が重なっていることが推定できる。
放射性セシウム:9.7Bq/kg ピーク法
ここも表土しか試料がなかったのでスペクトルのパターンの類似性から高槻市北園町の地下土壌(粘土)スペクトルをバックグランドスペクトルとして用いたので参考値です。差分スペクトルにはCs137の662keV、Cs134の796keVにピークがある。数値的には134はマイナスとなっているがピークの存在は明確であるので、福島事故の影響がある。低エネルギー域もピークがあり、バックグランドが現地の土壌でないため明確ではないが人工核種の汚染が重なっている。
放射性セシウム:22.8Bq/kg
秋田県で地下50cmの土壌スペクトルをバックグランドとして表土の汚染を求めた例。天然核種の影響がきれいに相殺されて人工核種の汚染が浮かび上がっている。福島事故の影響を示すCs134に比してCs137が多くなっているので、チェルノブイリ事故の残存放射能も含まれている。ゲルマニウム半導体での計測も依頼していて同様の計測値を得ている。
本計測器によって地下土壌をバックグランドとする方法での計測法の信頼性を確かめることのできる計測結果である。
放射性セシウム:重量換算 365Bq/kg
世田谷区のマンションのエントランス部分の植え込みの土。1㎡あたり2万4千Bq。空間線量で関西と関東・東北の汚染を比較することの愚かさがよくわかるだろう。東京の汚染は大阪の100倍から1000倍。低エネルギー領域の人工核種の汚染も存在する。
バックグランドは試料室になにも入れない状態で計測したスペクトル。本計測は10時間をかけたが、この汚染レベルであれば10分程度で計測が可能である。
放射性セシウム:245.9Bq/kg
市民放射能測定所三題で報告していたのとROI設定を調整したので若干数値が異なるが、Cs全体で250Bq/kgの汚染である。バックグランドは試料室に何もない状態で計測したスペクトルであるが、天然核種の影響を排除しても2、3%ぐらいしか数値は下がらないだろう。
宮城県は環境調査を行っていないが、深刻な汚染地域になる。
放射能測定用土(地表、地下)の採取法
1.雨の直後は土が水分を含みすぎていますので数日間晴天が続いたあとに採取。
2.水田よりも畑の方が採取しやすい。
3.耕していない場所を選ぶ。(土がかき回されていない場所)
4.スコップで深さ60cmの穴を掘ります。 40cmくらいで大丈夫なようです。
5.底に落ちた表面近くの土をきれいに掘り出して混ざらないようにします。
6.小さなスコップで底の側面の土を採取します。約1リットル。石は除いてください。
7.スコップをきれいにぬぐって、表土の側面を5cmくらいの深さで採取します。(1リットル)大きな草や木ぎれ、石は除いてください。少々の根は大丈夫です。
8.それぞれの土を10cm×14cmのチャック袋に160gずつ、2袋つくります。1試料320gが測定試料になります。地表と地下それぞれ2袋ですので合計4袋がセットの測定試料になります。
9.地点名、表土、底土、採取日などの情報を袋にマジックで記入します。
高槻・市民放射能測定所に持ち込めばセットで1000円で測定してくれます。
地下浸透の様子を調べるためには、ステンレスなどの仕切り板を水平に打ち込んで
深さごとにサンプリングします。その際も必ず下の方から採取します。