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塩ビ・ホースが踏んだくらいで破れるのは |
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碧い蜻蛉
ずさん管理で汚染水漏れ 作業員が踏み、ホース破損 2012年10月20日
今週(13〜19日)の福島第一原発では、高濃度汚染水を移送するホースから水漏れがあった。作業員に踏まれてホースが破損したことが原因とされている。
水漏れは15日、3号機タービン建屋付近で見つかった。東京電力によると、塩化ビニール製ホースから1リットルあたり2800万ベクレルの放射性物質を含む汚染水約90リットルが漏れた。
同じホースの別の箇所では、八月にも同様の水漏れがあった。ホースが乱雑に設置されていたため、作業員が移動の際に踏んでしまっていたことが原因とされた。今回のケースも、現場のホースは乱雑に置かれていた。
塩ビホースが踏んだだけで簡単に壊れてしまうのはなぜだろうか。実はこれがプラスチック製品の最大の弱点なのだ。
プラスチックは放射線や紫外線にとても弱いのである。光やガンマ線のエネルギーは大きくて、プラスチックをつくっている化合物の長い鎖にあたると化学結合を切断する。特に、塩素が結合している塩化ビニル化合物は塩素が簡単に外れ、そこに空気中にある酸素が結合して化学反応が進み、本体の長い鎖を切ってしまう。屋外や光の当たるところでは、原料のプラスチック高分子だけでは耐久性が低いのである。
だから、私たちが使っているプラスチック製品には光を遮る鉛などの金属を練り込んだりしてつくられている。
ところが、ガンマ線のエネルギーは光より圧倒的に大きくて、添加物を加えてもそれらを易々と通過するために高分子との反応を抑えることができない。放射能汚染水は強烈なガンマ線やベータ線などの放射線を発しながらプラスチックのパイプの中を通っている。何万ベクレル/リットルという高濃度の汚染水はわずか1秒の間に何万発もの放射線を発することになる。
プラスチックはたちまち高分子が切断されて、もろく劣化してしまう。
だから、踏んだだけでも壊れてしまうのだ。雑草が生えただけでも雑草の芽に貫かれてしまうのだ。
だから、猛烈な放射能を扱うのはプラスチック製品ではだめなことは常識である。ステンレス製のパイプ網を張り巡らさない限り収束したなどと言ってはいけないのだ。
これは汚染水を貯めるタンクにも言える。もし、汚染水タンクにプラスチック製品をつかっていたら、ある日突然タンクが破裂して放射能汚染水が噴き出すことになる。
嘘だと思ったら、10年ぐらいひなたにおいていたポリタンクを足で踏んでみて下さい。ばらばらに壊れるのがわかるだろう。