item2

本年3月に発行された農業環境技術研究所報告34号(P24-28)に宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川の75箇所の水田、圃場で採取された土壌のヨウ素131、及び、セシウム134、セシウム137の測定データが掲載されている。計測の補正日として2011年4月1日換算の報告であり、半減期8日間で本格的な調査がサボタージュされている間にどんどんと減衰してほとんどわからなくなってしまった初期におけるヨウ素131の汚染沈着量を推定する有力なデータである。

米軍による土壌調査のデータやその解析については、http://aoitombo.s100.xrea.com/dojou.html、http://aoitombo.s100.xrea.com/dojokaiseki.html、http://aoitombo.s100.xrea.com/dojokaiseki2.html に行って来たが、日本政府が米国に中止させた経緯から十分な量のデータとはなっていなかった。

今回の農環技研の調査も千葉の北部や東京がはずされているなど問題を隠す意図が見えるが、わからない事は詮索しない。

農環技研の調査と米軍調査では土壌のサンプリング方法や採取土壌の深さなどが異なるが両者のデータを一致させるために次の操作を行った。

米軍調査は一点法で表土2cmを採取してサンプリングしている。農環技研の調査は田畑1枚をの5点から表土15cmを採取して混合、分割法などで均一化して1サンプルを取り出す五点法で行っている。農環技研のデータをすべて表土2cmに集まったものとして報告データを7.5倍した。

さらに半減期の短いヨウ素131の減衰を補正するため米軍土壌調査の解析で行った時と同じ2011年3月27日時点の核種濃度に換算した。

図1はセシウム137濃度に対するヨウ素131の濃度の関係を示す。

item3

図1 米軍土壌調査及び農業環境技術研究所土壌調査データによる土壌沈着セシウム137とヨウ素131の関係(全データ)

図中の直線はセシウム137に対してヨウ素131が約1.6倍を表す。須賀川市、那須塩原市、大田原市、本宮市などの土壌がこのラインにそって分布している。

これに対して、浪江町は大きく外れた高い値を示している。また、原発の被災者が多く逃げ込んだいわき市もセシウム137濃度に対して20倍近くもヨウ素131濃度が高くなっている。先にも指摘したが環境中セシウム137濃度がヨウ素131被曝の代替指標として使えないことが明らかである。

 

図2は上図の低い領域を拡大したものである。

item4

図2 米軍土壌調査及び農業環境技術研究所土壌調査データによる土壌沈着セシウム137とヨウ素131の関係(拡大)

ほとんどの地域で土壌セシウム137の2倍から10数倍の濃度のヨウ素131が降っていることがわかる。

 

 

item5

 

 

 

 

 

 

item15

福島からの死の灰 http://aoitombo.s100.xrea.com/sinohai.html で検討したように、多くの核種が降り注いだ。特に短寿命核種はセシウム137の数倍の沈着が考えられる。ベータ線核種やアルファ線核種もこれらに重なっている。

浪江町は永久に立入禁止レベルであるが、安全だと多くの避難者が集まっているいわき市もすこしも安心できるレベルではないだろう。

少ないデータではあるが読み解けることだけは読み解く努力を続けて行きたい。

碧い蜻蛉

  フクシマ・ジェノサイドと呼ばれる全訳)
後世に
公害とは、公の共有物たる天地・海川に毒をまき散らし、万物の命を奪う天下の大罪

米軍と農業環境技術研究所調査土壌データ 合併

セシウム、ヨウ素だけではない