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碧い蜻蛉

  フクシマ・ジェノサイドと呼ばれる全訳)
公害とは、公の共有物たる天地・海川に毒をまき散らし、万物の命を奪う天下の大罪

1号機は水蒸気爆発→水素爆発の

二段爆発が起きた

 

炉心溶融(メルトダウン)

福島第一原発1号炉は炉心の冷却ができなくなって、原子炉の数千種類もの放射性物質の崩壊するときに出す崩壊熱で圧力容器内の冷却水が蒸発し、からからになった炉心がどんどんと高温になっていった。われわれの日常的な感覚では、運転を止めればどんどんと冷却されて冷えていくはずだが原子炉はそうはいかない。放射性物質の崩壊によって発生するエネルギーは基本的に原爆のエネルギーをつくり出すものと同じだからだ。崩壊とは放射能を持つ原子がエネルギーを放出して他の原子に変換することだ。その際にほんの少しだけれど質量が減る。この減った質量がエネルギーに変換する。アインシュタインの発見、物質の質量とエネルギーは同じものだという原理に従って発生する。 

E=MC2

Eは発生するエネルギー量、Mは減った分の質量、Cは光速の二乗

私たちが家庭で使っているエネルギーでは原子の変換は起きない。原子と原子の結びつきが変わることによって発生するエネルギーの変化である。これらのエネルギーに比べて原子の崩壊によって発生するエネルギーはべらぼうに(敢えて誇張して表現する)大きい。放射能原子の崩壊エネルギーも大小があるし、化学反応のエネルギーもさまざまであるが、敢えてエネルギーの大きさを表現すると、1原子の崩壊エネルギーは1化学反応のエネルギーの百万倍である。

100万キロワット発電できる原子炉では運転中は300万キロワットとおおむね3倍のエネルギーを出している。発電に使われる100万キロワットの他の200万キロワット分は海に捨てられて海水を温めている。300万キロワットは10トンの水を数秒で蒸発させてしまうほどの大きなものだ。

原子炉を停止させても燃料棒の発熱は続いている。冷却機能が失われた原子炉は当然メルトダウン(炉心溶融)に向かう。

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http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=06-01-01-09

シビアアクシデント時の炉心溶融進展に関する研究 (06-01-01-09)

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水色の部分は筆者加筆。

ATOMICAでは以下のように記述されている。

「原子炉の冷却(崩壊熱の除去)が困難となり、1~3号機では炉心が溶融し、高温の燃料被覆管と水蒸気の反応(ジルコニウム-水反応)で水素ガスが発生した。この水素ガスは放射性物質の一部と共に原子炉圧力容器減圧のための主蒸気逃がし安全弁の作動、炉心溶融物の落下(メルトダウン)による原子炉圧力容器の損傷などによって原子炉格納容器内に漏出した。さらに、原子炉格納容器内の温度、圧力の上昇によって原子炉格納容器の上蓋、ハッチ、配線貫通部等に用いられているシール材の劣化、また、原子炉格納容器の部分的損傷などによって原子炉建屋へ漏出したと推定される。結果として1号機、3号機及び4号機では水素爆発が起こり、原子炉建屋上部を損壊した。」

このようにさらっと書かれているが、融点が3000K以上になるウラン燃料や原子炉の中で生成した放射性物質が熔鉱炉の鋼鉄のように溶けたことを意味する。熔鉱炉の鉄であれば温度が下がれば素手で触っても問題は起きない。燃料デプリは死の灰の塊なのだ。

燃料棒被覆の金属ジルコニウムが熔ければ核燃料ペレットからキセノン、クリプトンなどの放射性希ガスやヨウ素が噴出する。

今回調べていて始めて解ったのだが、ウランやプルトニウムの酸化物を焼き固めて作ってある核燃料の融点は非常に高く、ウラン酸化物で3120K、プルトニウム酸化物で2553Kであるが、炉心溶融が起きるとジルコニウム合金であるジルカロイが熔けるとその中に溶け込んで2000K程度のもっと低い温度で熔けてしまう。融点の低い核分裂生成物であるセシウムなどとともに固体相と混合した熔融物が圧力容器の底に溜まり始める。

福島原発の圧力容器は底に穴が多く開けられ、制御棒が差し込まれている。熔けた核燃料の熱によって制御棒は熔けて抜け、さらに、圧力容器の底も溶解して熔けた核燃料が外側の格納容器の底に流れ出す。

 

水蒸気爆発

格納容器の底に水があると、熔融燃料の量によって最悪の場合は水蒸気爆発を起こす。水蒸気爆発というのは液体の水が気体の水蒸気になるときに体積が1000倍にふくれるために起こる。

インターネットの教えgoo に水蒸気爆発について回答されている。

「鉄鋼の製造現場で働いたことがあります。

水蒸気爆発は水が高温の金属と接触して一気に水蒸気になることにより起こります。

正確にいうと、水蒸気の逃げ場がなく溶融した金属に取り囲まれたときに水蒸気爆発の程度が大きくなります。したがって、溶けた金属の上に水があったとしても湯気を出すだけで、爆発には至りません。(激しい湯気ですが)。300トン以上の1600℃を超える溶融した鉄の上に水が溜まっても、爆発はしませんでした。

逆に、湿った地面に溶融した高温の物質を流すと爆発がおこりました。

また、溶けた鉄を水槽中に流しても、充分な深さがあったり、攪拌状態なら爆発しません。水槽の深さが浅く底面で溶けたままの金属が広がる状態なら、少量の金属でも水蒸気爆発をおこします。金属や水の量だけで判断しないことが大切です。」

 

圧力容器から熔けて流れ出た高温の核燃料の塊がどんと床の水の上に落ちると水蒸気爆発になる。核燃料は激しく飛び散ることになる。1号機では格納容器の入れてあるドライウェルの上部の蓋が吹き上がって外れている。この場所(5階フロア)は爆発直後には熔けた核燃料が吹き出していた場所であり、蒸気の噴出、鉄骨の焼けた後などが残っている。

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シーリングハッチから 吹き出した高温ジェットで上部の鉄鋼が焼かれていることが解る。このシーリングプラグは本来なら床にすっぽりとはまっているのであるが、下からの圧力で吹き上がってそのまま残されている。このプラグの下は高い放射能に晒されている。

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福島原子力事故発生後の詳細な進展メカニズムに関する未確認・未解明事項の調査・検討結果のご報告~第5回進捗報告~item10

福島原子力事故発生後の詳細な進展メカニズムに関する未確認・未解明事項の調査・検討結果のご報告~第5回進捗報告~    2017年2月5日東京電力ホールディングス株式会社

東京電力は1号機も水素爆発としているが、シーリングプラグの破損、熔融燃料の飛散などから格納容器で水蒸気爆発が起き、5階に吹き出した高温の核燃料によってフロアに充満していた水素ガスが点火されて水素爆発が起きた二重爆発と考えるのが妥当でないだろうか。

 

1号機の爆発飛散放射性微粒子は大きく、いびつである

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JAEA 「原子炉の炉心溶融」日本原子力研究開発機構安全研究センター 工藤保 平成23年6月6日

要するに炉心溶融が起きた場合に最も恐れられるのが水蒸気爆発である。水そのものが爆発するのは、液体から気体に変化するときに体積が1000倍にふくれあがるからだ。高温の熔けた金属が水に接触すると急速な気化が起きる。水蒸気気泡の爆発的な拡大が衝撃波を生み出し、溶けた金属を爆砕しながら飛び散る。原子炉の格納容器で水蒸気爆発がおきると格納容器でどのように衝撃波が発生し容器が破壊されるかという研究も行われている。そこでは水蒸気爆発で非常に細かい粒子が発生すること、炉心に含まれるすべての核種が粒子になって飛び散ることなどが明らかにされている。また、水蒸気爆発が起きないとき(つまり水素爆発など)では微粒子が形成されない。

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軽水炉シビアアクシデント時の炉外水蒸気爆発による格納容器破損確率の評価 JAEA−Research 2007−072

1号機からの飛散放射性微粒子

1号機から放出された放射性微粒子が存在する場所が東大の小豆川らや筑波大の佐藤らの先行研究で明らかにされ、東京理科大の小野らがその地域の土壌から微粒子を抽出して特性を報告している。それによると1号機からの放射性微粒子は2号機、3号機からのそれに比べて粒径が大きいこと、さらに形が不定型であることなどがわかる。「福島第1原子力発電所事故により「1号機から放出された放射性粒子の放射光マイクロビームX線分析を用いる化学性状の解明」小野貴大ら、 分析化学、vol.66.4,pp.251-261

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写真を引用させてもらうと、上の左側は1号機由来の放射性微粒子、右側は2号機、3号機由来の放射性微粒子である。

あきらかに、形状が異なる上に大きさも大きいことがわかる。両者で粒子の形成過程が大きく異なることは明らかであろう。左は高温の熔融液体が液滴として飛散し、そのまま表面張力などで球形に整形される前に急速に冷却されたものであろう。右のものは高温の沸騰現象が起きて、熔融液体の表面から飛び出したミストが空気中で冷却されて球形を形成したものであろう。球形の粒子は熔融核燃料の中でジルコニウム酸化物、制御棒のインジウム、銀、カドミウムや、セシウム酸化物、ウラン酸化物、プルトニウム酸化物などが共沸現象を起こす温度に達していたことを示す例ではないか。

1号機からの放射性微粒子の形状が大きく、不定型なことは原子炉の中で熔融燃料が水に触れて爆発飛散した、つまり水蒸気爆発由来と考えるとつじつまが合う。

爆発で上部の熔融燃料も吹き飛ばし、格納容器の蓋、5階のシーリングプラグも押し上げて、熔融燃料が顔を出し、5階に充満していた水素ガスに点火して水素爆発を起こしたのであろう。

5階の水素爆発から始まったという東京電力の仮説では放射性微粒子の大量放出を充分に説明できない。

 

南相馬には1号機からのウラン、プルトニウムを含む

熔融核燃料が粉塵となって降り注いだ

 セシウムだけが汚染源ではない

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ウラン、プルトニウムを含む粉塵ダストが全国に飛散したのであれば、大阪においても木の葉に穴が空いたり、さまざまな奇形植物が出現するのも理解できる。大阪で行われたがれき焼却の際にはバグフィルターで捕捉できないナノスケールの放射能粉塵も飛散したと推定できる

大阪でも植物に奇形 Ⅱ

http://aoitombo.s100.xrea.com/kikei2.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 



軽水炉





 

 

 

 

 

 

2553K ー  PuO2の融点
2220K ー 制御棒被覆の融点
制御棒の中身
被覆管が酸化した場合、約2800Kに到達するとZrO2とUO2は共晶により溶ける。